DISEASE

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骨粗鬆症

スクリーニングの対象

骨粗鬆症は「沈黙の病気」と呼ばれ、自覚症状がないまま進行します。そのため、骨折して生活の質(QOL)を損なう前に、リスクの高い方を対象とした早期発見(スクリーニング)が非常に重要です。

以下に該当する方は、特に優先的な検査・評価の対象となります。

  • 65歳以上の女性:閉経後のホルモンバランスの変化により、骨密度が低下しやすいため、定期的なチェックが推奨されます。
  • 65歳未満でステロイド治療を行っている方:喘息や膠原病などの治療で使用されるステロイド薬は、副作用として骨を弱くする性質があるため、年齢に関わらず注意が必要です。
  • 転倒やふらつきのある方:骨が脆くなっている可能性があるだけでなく、転倒そのものが骨折の直接的な原因となるため、現在の骨の状態を確認することが重要です。

これらに当てはまる場合は、一度医療機関を受診し、骨密度検査などのスクリーニングを受けることをお勧めします。

症状

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。最大の特徴は、骨折するまで自覚症状がほとんどないことで、「沈黙の病気」とも呼ばれます。骨密度が下がるだけでは痛みを感じませんが、骨が脆くなることで日常生活の些細な動作が深刻な怪我につながります。

初期のサインとして重要なのが、身長の変化と姿勢の崩れです。背骨が気づかないうちに押し潰される「いつの間にか骨折」が起きると、背中が丸くなったり身長が縮んだりします。以下の項目に心当たりがないかチェックしてみましょう。

  • 身長の短縮:若い頃の身長と比べて2cm以上縮んでいる場合は、背骨の圧迫骨折が疑われます。
  • 姿勢の変化:壁に背をつけて立ったとき、後頭部が壁につかないほど背中が丸まっているのは、骨の強度が落ちているサインです。
  • 動作時の痛み:立ち上がる際や重いものを持ったときに、背中や腰に重だるい痛みを感じることがあります。
  • 鋭い痛み:寝返りを打つときなど、特定の動作で背中周辺に強い痛みを感じる場合は注意が必要です。
  • 骨折の経験:転んで手をついた、くしゃみをした、重いものを持とうと腰をひねった、といったわずかな衝撃で骨折したことがある方は、骨粗鬆症の可能性が非常に高いです。
  • 内臓への影響:背中が曲がると胸や腹部が圧迫されるため、息苦しさや、胃酸が逆流するような胸焼けを感じることもあります。

これらを放置すると、一度の骨折が次の骨折を招く「骨折の連鎖」が起き、寝たきり状態になるリスクが高まります。違和感を加齢のせいにせず、早めに検査を受けることが大切です。

原因

骨は毎日、古い骨を壊して新しい骨を作る「作り変え(骨代謝)」を繰り返しています。この「壊す力」と「作る力」のバランスが崩れ、壊すスピードが上回ると骨がスカスカになってしまいます。主な原因には以下のものがあります。

  • ホルモンの変化:女性の場合、閉経によって骨を守る働きのある女性ホルモンが急激に減ることが最大の要因です。
  • 加齢の影響:年齢とともに新しい骨を作る細胞の力が弱まり、腸からのカルシウム吸収力も低下します。
  • 偏った食事:カルシウム、ビタミンD、ビタミンKといった骨の材料が不足すると、骨密度は維持できません。
  • 運動不足:骨は適度な負荷(刺激)がかかることで強くなる性質があるため、体を動かさない生活は骨を弱くします。
  • 嗜好品の影響:過度な喫煙はカルシウムの吸収を妨げ、お酒の飲み過ぎは大切な栄養素を尿と一緒に排出させてしまいます。
  • 持病やお薬の影響:糖尿病や腎臓病、あるいは喘息などの呼吸器疾患が骨の質に影響を与えることがあります。特にステロイド薬を長期間服用している方は、骨密度が低くなくても骨折しやすくなるため注意が必要です。

内科や呼吸器内科で治療中の方は、病気そのものやお薬が原因となっている場合もあります。ご自身の生活習慣だけでなく、治療背景も含めた確認が重要です。

診断

骨粗鬆症は客観的な数値で診断します。現在の骨の強さを知り、将来のリスクを予測するために以下の検査を組み合わせて行います。

  • 骨密度測定(DXA法):腰の骨や足の付け根の骨密度を測ります。最も精度が高く、治療効果の判定にも適した標準的な検査です。
  • 骨密度測定(MD法):手の骨をレントゲン撮影して測る方法で、短時間で手軽に受けることができます。
  • 超音波法(QUS法):かかとの骨に超音波を当てて測ります。放射線を使わないため、どなたでも安心して受けられます。
  • 血液・尿検査:骨が壊れるスピードと作られるスピードのバランス(骨代謝マーカー)を調べ、適切なお薬を選択する手がかりにします。
  • レントゲン撮影:背骨を撮影し、自覚症状のない「いつの間にか骨折」や変形が起きていないかを確認します。
  • 問診と身長測定:身長の変化を確認し、ご家族の骨折歴や生活習慣、服用中のお薬について詳しくお伺いします。

検査結果が若年成人の平均値(YAM値)の70%以下になると骨粗鬆症と診断されますが、既に骨折がある場合は数値がそれ以上でも治療が必要になることがあります。

治療

治療の目標は、骨密度を上げるだけでなく「骨折を防いで自立した生活を守る」ことです。以下の3つを並行して進めることが効果的です。

お薬

  • 薬物療法:骨の状態に合わせてお薬を選択します。骨を壊す力を抑える薬や、新しい骨を作る力を強める薬があります。飲み薬(毎日・週1回・月1回など)のほか、数ヶ月に1回の注射など、続けやすい方法を提案します。

食事

  • 食事療法:カルシウムを豊富に含む乳製品、小魚、大豆製品を意識して摂りましょう。カルシウムの吸収を助けるビタミンD(魚やきのこ)や、骨への定着を促すビタミンK(納豆や青菜)を組み合わせるのがコツです。

運動

  • 運動療法:ウォーキングやかかと落とし運動で骨に刺激を与えます。また、片足立ち(フラミンゴ運動)でバランス感覚を養うことは、骨折の原因である転倒の予防に繋がります。
  • 日光浴の習慣:1日15分程度、手のひらなどに日光を当てることで、食事から摂ったカルシウムを効率よく骨に取り込めるようになります。
  • 生活環境の整備:家の中の段差をなくし、手すりをつけるなど、転倒を防ぐ工夫も大切です。
  • 生活習慣の改善:禁煙を心がけ、アルコールの過剰摂取を控えることで、骨に必要な栄養素を守ります。

治療は数年単位で続ける必要があります。自己判断での中断は骨密度を再び低下させ、骨折リスクを高めてしまいます。定期的な検査で改善を確認しながら、根気強く取り組んでいきましょう。