COLUMN

院長コラム
2026.01.11

喘息患者さんのためのインフルエンザ・肺炎球菌ワクチン接種の重要性

 感染症は喘息増悪の最大の引き金

喘息の急性増悪(発作)の原因として最も多いのが呼吸器感染症です。風邪やインフルエンザなどのウイルス感染は、気道の炎症を急激に悪化させ、重症の発作を引き起こすことがあります。

喘息患者さんは健康な方と比べて気道の粘膜バリアが弱く、感染症にかかりやすいだけでなく、重症化しやすい傾向があります。そのため、ワクチンによる感染予防は喘息管理の重要な柱の一つとなっています。

インフルエンザと喘息の関係

インフルエンザウイルスに感染すると、気道の炎症が急速に悪化し、喘息の重症発作を引き起こすリスクが高まります。入院を要するような大きな発作の原因としてインフルエンザは常に上位に挙げられます。

インフルエンザにかかると発熱や全身倦怠感に加え、咳や喘鳴が著しく悪化します。また、インフルエンザ後に気道過敏性が数週間にわたって亢進することが知られており、回復後もしばらくは喘息が不安定な状態が続く場合があります。

肺炎球菌感染のリスク

肺炎球菌は肺炎の主要な原因菌であり、喘息患者さんでは感染リスクが高いことが報告されています。喘息患者における侵襲性肺炎球菌感染症のリスクは2.4倍高いことが報告されています(Talbot TR, et al. N Engl J Med. 2005)。

肺炎球菌による肺炎は重症化すると入院が必要となり、場合によっては命に関わることもあります。特に高齢の喘息患者さんや、ステロイドの内服治療を受けている方では、感染リスクがさらに高まります。

ワクチンの効果と安全性

喘息の管理において、感染症による症状悪化を防ぐことは非常に重要です。特に、以下のワクチンによる予防策を適切に講じることは、安定した体調を維持するために大きな助けとなります。

1. インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは、感染予防だけでなく、万が一感染した場合の重症化を防ぐ効果があります。

  • 効果: 健康な成人では発症を50〜60%程度減少させることが期待され、喘息患者さんにおいても発作(増悪)の頻度を減らすという報告があります。
  • タイミング: 接種後約2週目から効果が現れ、約5か月間持続します。日本では12月〜3月が流行のピークとなるため、10月〜11月中旬までの接種が理想的です。
  • 頻度: ウイルスの変異に合わせて、毎年1回の接種が必要です。

2. 肺炎球菌ワクチン

現在の主流は、より広い範囲をカバーし、一度の接種で強い免疫が長続きする「結合型ワクチン(PCV20:プレベナー20、PCV21:キャップバックス)」へと移行しています。

  • 最新の標準: 従来のワクチンに比べ、1回の接種で効率よく、かつ長期間(10年以上)の保護効果が期待できるのが特徴です。
  • 接種の対象と回数: 65歳以上の方は定期接種の対象です。65歳未満でも喘息などの基礎疾患がある方は接種が推奨されるため、主治医と相談しましょう。
  • 過去に接種した方: 前回の接種から適切な期間(1〜5年以上)をあけることで、最新のワクチンを追加接種することが可能です。

副反応と同時接種について

どちらのワクチンも喘息患者さんに安全に接種いただけます。接種部位の痛みや軽い発熱が出ることがありますが、通常は数日で改善します。症状が安定している時期であれば、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種も可能です。

※より詳細な情報については、別記事「喘息患者さんのためのインフルエンザ・肺炎球菌ワクチン接種の重要性」をご参照ください。

接種のタイミングと頻度

インフルエンザワクチンは毎年10月から11月に接種することが推奨されます。流行のピークに備えるためには、11月中旬までに接種を完了しておくのが理想的です。インフルエンザワクチンは毎年接種が必要です。

肺炎球菌ワクチンは、65歳以上の方には定期接種として推奨されています。65歳未満でも喘息などの基礎疾患がある方は、主治医と相談の上、接種を検討することをお勧めします。接種回数やスケジュールは年齢や基礎疾患によって異なりますので、個別にご確認ください。

個々の体調や状況にもよりますが、現在の肺炎球菌ワクチンの接種は、「最新の結合型ワクチン(PCV20またはPCV21)を1回打つ」のが基本です。

状況別のスケジュールは以下の通りです。

  • 初めての方:いつでも1回接種して完了です。
  • 過去に接種した方:前回の接種から1年以上(PPSV23の場合はできれば5年以上)あけて、最新のものを1回追加します。

この1回の接種で、長期間(10年以上)の効果が期待できます。喘息の症状が安定している時期であれば、インフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。

吸入薬との併用について

ワクチンは吸入ステロイド薬や気管支拡張薬と併用しても問題ありません。ワクチン接種の前後で吸入薬の使い方を変更する必要はなく、通常通りの治療を継続してください。

喘息の症状が安定している時期にワクチンを接種するのが望ましいですが、軽い症状がある場合でも基本的に接種は可能です。発作が重い場合や発熱がある場合は、回復してから接種するようにしましょう。

また、帯状疱疹ワクチンも50歳以上の方に推奨されています。帯状疱疹そのものは呼吸器感染症ではありませんが、激しい痛みによるストレスや体力消耗が喘息のコントロールに影響を与えることがあります。「予防できる感染症は予防する」という姿勢が、長期的な喘息管理において非常に重要です。かかりつけ医と相談のうえ、自分に必要なワクチンを計画的に接種していきましょう。

新型コロナウイルスワクチンについても、喘息患者さんには積極的な接種が推奨されています。新型コロナウイルス感染症は気道の炎症を急激に悪化させる可能性があり、喘息患者さんでは重症化リスクが高まるためです。mRNAワクチンと吸入薬の相互作用は報告されておらず、安全に接種できます。

さらに、RSウイルスワクチンも60歳以上の方や、慢性呼吸器疾患をお持ちの方に検討されています。RSウイルスは小児だけでなく高齢者でも重症化しうるウイルスであり、気管支炎や肺炎を引き起こして喘息の増悪につながることがあります。新しいワクチンが利用可能になった場合は、主治医と相談のうえ接種を検討してください。

また、帯状疱疹ワクチンも50歳以上の方に推奨されています。帯状疱疹そのものは呼吸器感染症ではありませんが、激しい痛みによるストレスや体力消耗が喘息のコントロールに影響を与えることがあります。「予防できる感染症は予防する」という姿勢が、長期的な喘息管理において非常に重要です。

新型コロナウイルスワクチンについても、喘息患者さんには積極的な接種が推奨されています。新型コロナウイルス感染症は気道の炎症を急激に悪化させる可能性があり、重症化リスクが高まるためです。mRNAワクチンと吸入薬の相互作用は報告されておらず、安全に接種できます。

まとめ

呼吸器感染症は喘息増悪の大きなリスク因子であり、ワクチン接種は効果的な予防手段です。インフルエンザワクチンは毎年、肺炎球菌ワクチンは適切な時期に接種し、感染症による喘息悪化を防ぎましょう。吸入治療と感染予防の両面からの管理が、喘息のコントロールを安定させる鍵となります。