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肺がんの初期症状としての「咳」。見逃さないためのポイント

日本人の死亡原因第1位のがんです

肺がんは日本におけるがん死亡者数の第1位であり、年間約7万5千人が亡くなっています。肺がんは早期に発見できれば手術による根治が期待できますが、進行してから見つかるケースが多いのが現状です。その理由のひとつが、初期の肺がんは症状が乏しく、自覚症状が出たときにはすでに進行していることが少なくないためです。

なぜ初期は症状が出にくいのか

肺がんが初期に症状を出しにくい理由は、がんが発生する部位と関係があります。肺の末梢(奥の方)にできる末梢型肺がんは、周囲に痛みを感じる神経が少なく、ある程度大きくなるまで咳や痛みなどの症状が現れにくいのが特徴です。一方、気管支の入り口近くにできる中枢型肺がんは比較的早い段階から咳や血痰が出ることがありますが、喫煙者では「喫煙による咳だろう」と見過ごされてしまうことがあります。

注意すべき咳の特徴

咳は日常的によくある症状ですが、肺がんの可能性を疑うべき咳にはいくつかの特徴があります。以下のような咳がある場合は、呼吸器内科の受診をお勧めします。

  • 2週間以上続く咳で、風邪薬や咳止めを使っても改善しない
  • 以前からある慢性的な咳の性質や頻度が変化した(回数が増えた、音が変わったなど)
  • 痰に血が混じる(血痰)、あるいは痰の色が赤みを帯びるようになった
  • 特にきっかけがないのに新たに出現し、徐々に悪化している咳
  • 体重減少や食欲低下、全身の倦怠感を伴う咳

咳以外に注意すべき症状

肺がんでは咳以外にもさまざまな症状が現れることがあります。血痰は気管支粘膜にできたがんから出血することで生じ、少量であっても軽視すべきではありません。胸痛は、がんが胸膜や肋骨に浸潤した場合に感じることがあります。嗄声(声のかすれ)は、がんが反回神経を圧迫することで起こり、風邪でもないのに声がかすれる場合は注意が必要です。さらに、息切れ、顔や腕のむくみ、繰り返す肺炎なども肺がんの進行に伴ってみられることがあります。

肺がんのリスク因子

肺がんの最大のリスク因子は喫煙です。喫煙者の肺がん罹患リスクは非喫煙者の15〜30倍に上り、喫煙量と喫煙期間が長いほどリスクは高まります。受動喫煙も肺がんリスクを約1.3倍に上昇させることがわかっています。

喫煙以外にも、年齢(特に50歳以上)、アスベストへの職業性曝露、肺がんの家族歴、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の合併なども肺がんのリスクを高める因子として知られています。非喫煙者、特に女性の腺がんも近年増加しており、喫煙歴がない方も油断はできません。

早期発見のための検査

肺がんの早期発見には、低線量CT検査が最も有効です。米国で行われた大規模研究NLST(National Lung Screening Trial, NEJM 2011)では、高リスク群に対する低線量CTスクリーニングにより肺がん死亡率が20%減少したことが報告されました。胸部X線検査では早期の小さな肺がんを見落とす可能性がありますが、低線量CTではmm単位の小さな結節も検出することができます。

特に喫煙歴のある50歳以上の方は、年に1回の低線量CT検査を検討することが推奨されます。また、喫煙歴がなくても上記のリスク因子に該当する方は、かかりつけ医に検査の必要性を相談してください。

「タバコを吸わないから肺がんにはならない」と考えるのは危険です。特に家族に肺がんの既往がある方、長期間にわたる受動喫煙歴がある方は、非喫煙者であっても定期的な胸部X線検査や低線量CT検査を検討する価値があります。早期に発見された肺がんの5年生存率はステージIで約80〜90%と高く、進行してから発見された場合の生存率と大きな差があります。「まさか自分が」と思わずに、定期的な検診を心がけることが最大の防御策です。

喫煙者だけでなく、非喫煙者の肺がんについても知っておく必要があります。肺がん患者の約15〜20%は生涯喫煙したことがない非喫煙者であり、特に女性の肺腺がんに多い傾向があります。非喫煙者の肺がんの原因としては、受動喫煙、ラドン曝露、大気汚染、遺伝的素因などが指摘されています。

早期に発見された肺がんの5年生存率はステージIで約80〜90%と非常に高く、進行した段階で発見された場合と大きな差があります。「まさか自分が」と思わず、2週間以上続く原因不明の咳、血痰、原因のない体重減少がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、50歳以上で喫煙歴が20年以上ある方は、年1回の低線量CT検査による肺がんスクリーニングの実施を検討することをおすすめします。

喫煙歴がなくても肺がんになる可能性があることも重要な事実です。肺がん患者の約15〜20%は生涯喫煙したことがない非喫煙者であり、特に女性の肺腺がんに多い傾向があります。受動喫煙、ラドン曝露、大気汚染、遺伝的素因などが原因として指摘されています。

まとめ

肺がんは初期症状が乏しいため、長引く咳や咳の性質の変化、血痰などの微妙なサインを見逃さないことが重要です。特に喫煙歴のある方や50歳以上の方はリスクが高く、定期的な低線量CT検査による早期発見が生存率の向上に直結します。2週間以上改善しない咳がある場合は、「たかが咳」と軽視せず、早めに呼吸器内科を受診してください。